Highchair “A” for kids

03_9983

このハイチェアは、こどものためにデザインしたものです。自分の娘が生まれたことがきっかけですが、あまり特殊さを出さずに、「誰でも使えるもの」を意識してデザインしました。また、チェア単体のデザインだけではなく、ほかとの調和を考えてデザインしました。

仕事でも幼児用の家具をオリジナルでデザインする機会がありますが、そのときに意識するのは、「こどものデザイン」にならないようにすること。

こどもが使うものなのに、「こどものデザイン」ではない。言葉遊びのようですが、こどもということを必要以上に考えてデザインすると、ほかの家具(大人が使う家具)とつりあいが取れなかったり、インテリアのデザインと調和が取れなくなってしまうことになります。

こどもの大きさに合わせて、寸法を小さくしたり、危なくないような最低限の丸みを取ることで、自然にこどもらしい、可愛さというのは出てくるので、必要以上にディテールや色味がこどもっぽくならないように気をつけています。こども用のチェアとはいえ、環境に調和した家具であって欲しい。主張しすぎず、埋もれない、適度な距離感があるのではないかと思います。

16_0008

このチェアを作ったとき、娘はまだ1歳になったばかりでしたが、こどもというのは、すぐに自分のものだということがわかる。どんな小さな場所でも自分の居場所があるというのは、こどもにとって安心感につながるのではないかと思います。

その意味で、チェアというのはもっとも小さなこどもの城のようなものなのかなと思っています。

page15-1014-full

http://nojik.net/styled-4/highchair/hc.html

住宅リノベーションの記録 6

cat tree

cat tree

家のキャラクターを再確認する。

「本好き服好き猫好きの家」

ここまででプランもほぼ固まり、素材も決まってきていますが、リノベーションによって実現したかったことが表現されているかもう一度確認します。私たちの場合、この段階で「何かが足りない」という、ちょっとした違和感を感じていました。

それは何か考えていたとき思い当たったのは、ペットとして飼っている一匹の猫のことでした。猫は高いところから外を見ることが好きで、以前の家ではそういう場所がたくさんあったのですが、この家では少ない。本棚の上ぐらいしかないことが気になってきました。プランを描いている間にも気にはしていましたが、いざ図面を描き終えて、工事が始まる段階になって改めて猫の居場所ということをきちんと考えました。

例えば、この家に木が生えていたら、猫にとっての居場所ができるし、小さな子どもにとっても遊べる場所ができる。それに家のちょっとしたアクセントにもなるのではないだろうかと思いました。こうして家の中に木を立てるアイデアが生まれました。実際に、家の中に木を立てるために、ちょうどいい木をどこで手に入れるのか、メンテナンスはどうするのかといった課題はありましたが、何とかイメージに近い木を探し当てることができました。

最後に家の全体を確認してみると、本がたくさん置けて、服もゆったり試着もできる、猫が木の上に登る。この家に住む住民=私たちのキャラクターがそのまま家に反映されたような家になったのではないかと思っています。

Shelf

Shelf

私たちは、この家のことを「本好き服好き猫好きの家」と呼んでいます。

できあがった家に引っ越したときに感じたことは、「新しい家なのにまったく違和感がない」ということでした。不思議なことにまるで昔から住んでいるかのような家だなと感じました。これは妻の感想でもあります。私は図面を通して、それに工事の間もプロセスを見ていたので、どんな家になるのかイメージができていましたが、二人にとって考えていた通りの家ができたなと思いました。

この住宅は、「豪華で広くて立派で」というような家ではないですが、家の隅から隅まで納得感のあるものになったと思っています。家は最終的なゴールではない。夢より実を取りたい。そういうふうに書きました。今回の家は、現段階の私たちの住まい方、それからこの物件があっての家のあり方だと思います。また、家族の状況や、仕事の仕方の変化によって変わるかもしれませんし、別の運命的な物件に出会えば、まったく違うプランになっていたかもしれません。

今回の私たちの経験は私たちだけのものですが、普段の仕事とは違う家作りのプロセスの中でいろいろなことを学びました。リノベーションの一般的なイメージと現実。ここでは書ききれないことを実体験として学びました。興味を持ってくださった方は、是非意見や感想などお寄せください。また、住宅のリノベーションを検討されている方、何か悩んでいることがあればお気軽にご相談ください。

野島 耕平 Kohei Nojima

連絡先: contact@nojik.net

桜丘の家

【物件概要】

  • 桜丘の家(東京都世田谷区)
  • 鉄筋コンクリート造4階建て1階部分(1984年竣工)
  • 設計:野島耕平
  • 施工:moph Inc.
  • 照明協力:ModuleX Inc. 山本智子 森田大介
  • 撮影:堀越 圭晋

【主要メーカー】

  • フローリング:NISSIN EX
  • タイル:MARAZZI, ADVAN, 名古屋モザイク
  • カーペット:川島織物セルコン
  • ダイニングテーブル天板リノリウム使用:フォルボ
  • 照明器具:ModuleX Inc.,オーデリック,遠藤照明
  • ブラインド:nanik

住宅リノベーションの記録 5

Work Area

Work Area

素材・色を決める

住宅リノベーションの記録。今回は、素材と色について書きます。

日々の生活を営む住宅は、直接手に触れるところが多いので、素材には特に気を使います。小さな子どもがいればなおさらです。表面の手触りがいいもの、長く使っていくと味わいが出てくる素材を選ぶようにしました。

例えばひとつの例として、イメージを出し合う中で、OSBという木のチップ材を固めた素材を使ったらどうだろうというアイデアもありました。元々は構造用のパネル材ですが、最近はインテリアの仕上げ材としても好んで使われます。表面の木の表情が面白いし、ローコストなのも魅力です。接着剤によって材料を積層させているためにケミカルなイメージもありますが、最近は、F☆☆☆☆(フォースター)というホルムアルデヒドの発散が少量とされる材料も出ています。

ですが、今回の住宅の場合を考えると、時が経っていつか表面の塗膜が剥がれてぼろぼろになるかもしれない、それを避けるために塗膜を厚くすると、ツルッとした人工的な手触りになるなと思い、結局これは採用しませんでした。ここは多少コストをかけても、無垢の素材や天然の素材を採用するようにしました。

それから、素材の「硬度」にも気を配りました。外からの入り口からすぐに、「ドレスエリア」がありますが、ここは土足でもOKにしたかったので、床には硬い素材=タイルを使っています。そこから、60センチのレベル差を解消するステップがありますが、ここは靴を脱いで素足になりますから、タイルとは対照的に柔らかい素材=カーペットにしています。

レベル差だけではなく、硬度にも差をつけて意識的な境界を作るようにしました。小さな工夫ですが、こうした感覚の質は大事なことなので、それぞれの素材の選定や仕上げには気を使いました。南側のエリアは、ナラ材の無垢フローリング(オイル仕上げ)ですが、毎年手入れを入れることで表情が変わってきます。手間はかかりますが、時間によって変化するのを感じることも暮らしを楽しくするひとつだと思います。

また、ダイニングのテーブルの表面材には、リノリウムという素材を使っています。リノリウムは、床材で使うことがありますが、天然素材でできていて、直接触っても、滑らかでとても気持ちのいい素材です。ダイニングテーブルは、毎日触れるものなので、自然のもの、手に触れたときに気持ちのいいもの、にこだわって選びました。

こうして素材を決めていきますが、素材は組み合わせによって、それぞれを引き立たせる効果もあります。必ず実物のサンプルを取って、素材を一覧にして俯瞰してみることで、全体のイメージを調整していきます。それから、CGも全体イメージを確認するのに役立ちます。普段の仕事では、CGはクライアントへのプレゼンテーション用に作成しますが、今回は、自分たち自身が確認するため(妻にプレゼンするため?)に作成しました。

C-02 C-03

色については微妙な細部までこだわりました。基本的な考え方として、時間の経過、外光の変化によって、色も変化が楽しめるといいなと考えました。例えば、天井をネイビーにしていますが、陽が差し込む日中は明るいブルーに、陽が沈んでからはむしろブラックに近い色に見えます。

一部の壁は、すみれ色にしていますが、こちらも明るい紫に見えたり、夜はむしろピンクに近い色に見えたりして、そういった刻々と変わる色の変化を感じることができるのはとても楽しいです。それからキッチンのグリーン、レストルームの青磁色。こういった配色やバランスについては、妻の意見を全面的に取り入れました。その家に暮らす人が、好きな色を選べるのことも楽しみのひとつだと思います。天井の色と壁の色は、色サンプルと現場での色が合わなくて塗り直しましたが、こだわって選んだだけに愛着のある色に仕上がったと思います。

kitchen

kitchen

Restroom

Restroom

次回は、リノベーションの記録最終回。家のキャラクターについて書きます。

Living & Dining

住宅リノベーションの記録 4

プランニング&デザイン

プランとデザインを行なうにあたっては、まず、お互いの具体的な生活イメージを膨らますところから始めました。週末はどのように過ごすのか、仕事は家でどのぐらいするのか、寝るのはベッドがいいのか畳に布団がいいのか、靴で過ごすのか素足で過ごすのか、料理はどのぐらいのレベルまでできるといいのか、バスタイムはどのように過ごすのか、といったようなことを話し合います。日常生活の中でなんとなく話し合うこともあるし、きちんと時間を取って話し合うこともありました。

それから、さまざまな本や写真集をあたり、直感で「なんとなくいい」ものを集めます。この写真のこの素材がいいとか、色がいいとか、ただ雰囲気がいいとか。後から振り返ると、まったく実現していない場合もありますが、好みを言葉だけではなく、ビジュアルで伝えることで、感覚的にイメージを共有することができます。

そうして、暮らし方のイメージがぼんやりとが見えてきたところで、具体的な生活の要素をプランに落としていきます。ここで働くと外が見えていいな、朝起きるときには朝日を浴びながら起きたい、服を着替えるところでは全身を確認したい、この向きにキッチンを置くと会話しながら調理できるな、といった衣食住で大事にしたい要素を抽出して、細かなところは置いておいて、まずは大きなところだけ簡単にプランに落としてみます。

プランの可能性は無限にあり、実際、パターンは何十通りにもなりますが、大事にしたいことをよくよく考えていくと、だいたいいくつかのプランに絞られてきます。私たちの場合、「仕事をする場所をどこに設定するのがいいのか?」というのは一番悩んだところです。戸建てを自由に設計する場合と違って、マンションの場合、専有部の面積や方角に対する配置が決まってしまっているため、選択肢は限られています。その中でどこがベターかを考える必要があります。当初、外光の影響を受けないこと、プライバシーレベル、来客対応等を考えると、北側エリアに取るのがいいのではないかとも考えました。

でも、外を見ながら仕事をする、明るい環境で仕事をする、ということを重視して、南側に取ることに決めました。ベッドエリアも、北側の可能性も考えましたが、朝に陽が差す環境に設定したいということで南側に決定。そうすると、北側のエリアは水周り以外は、何か機能を置くといういうよりも、バッファスペースとしておいておこうということになりました。

Dress Area

Dress Area

こうして、全体のスペースから比較すると分相応に広い土間スペースを設定することが決まりました。妻の仕事を考えても、広い土間スペースは「ドレスエリア」として、フィッティングや生地をじっくり見るのに、ちょうどよいだろうと考えました。それから、南側はなるべくオープンに、ゆったりという意識が強かったので、「ダイニング&キッチン」「ワークエリア」「ベッドエリア」は、すべてひとつにつながったワンルームにしました。ただし、構造の壁と、特徴的な梁を利用して、それぞれのエリアがなんとなく領域を作れるよう、配置関係に気を使って設計をしていきました。

ちなみにこの家では、新しく作った壁と建具はほとんどなく、「レストルーム」の壁と引き戸と、、一部の小壁を新設した以外は、すべて既存の躯体壁を利用しました。壁構造のマンションは、リノベーションの際、プランの制約が大きいですが、うまく利用できればコストメリットを出せると感じました。

Rest room

Rest room

次回は、素材について書きます。

 

 

Work Area

住宅リノベーションの記録 3

方針とコンセプト

さて、物件を決めたらいよいよプランニングです。プランニングをするにあたって、コンセプトを話し合いました。コンセプトとプランは同時に浮かび上がってくるので、ぼんやりしたイメージから、2つを行ったり来たりするうちにだんだんと輪郭ができていくようなところがあります。プランは、少なくとも何十通りも考えられるので、コンセプト=ぶれない軸を作っておくことで、方向性を見失わないようにします。大きな方針を2つだけ立てました。

<方針>

1 潔さ

潔さというのは、あきらめることが肝心、ということではなくて、むしろ必要なこと、大事にしていることに絞ってエッセンスを取り出すことをしたいと考えました。

2 居住まい
居住まいというのは難しい言葉ですが、できたときが一番美しいのではなく、住まうことで味わいがでるような、そういう家にしたいと思いました。

それから、設計コンセプトを3つ決めました。

<設計コンセプト>

1 おおらかさ

住宅を考えていくと、あれも必要、これも必要、ということで、やりたいこと、欲しいものをあげていくと、きりがありません。必要な要素だけに集中し、ほかはそぎ落とし、本当に大事なものだけを取り出したいと考えました。その上で、ゆったりとおおらかなデザインを心がけました。それほど広くないスペースであっても、ゆとりを持つことが大事だと考えました。

例えば、この家の場合、ビフォアーは3DKでしたが、思い切って1DKにしています。広めのワンルームにして、間仕切りをなるべく少なくし、ゆったりとした過ごし方ができるように考えています。それから、ここでは子ども部屋を作っていません。子どもの年齢が小さいうちは、個室を作ってスペースを取ってしまうより、全体的に広いほうがよいと考えました。

2:立体的な空間づくり

私たちが選んだ物件には、幸運にも(?)、家の中に段差があるという今どき珍しい物件でした。この特徴を活かしきることが大事だと思いました。また、壁構造ということもあり、梁の高さが大きいというのも、ひとつの特徴でした。これも考えようによってはネガティブな要素ですが、この梁もデザインの要素として、活用しようと考えました。具体的には、壁ではなく梁で緩やかにゾーンを分けること、また一部は収納として活用することで、新たに作る要素を減らした上で、住み心地のよい空間になることを考えました。

3:固いものと柔らかいものを組み合わせる

三つ目は、住み手の属性にも関係があります。私はインテリアプランナーですが、妻は、衣服に関わる仕事に携わっていて、布やテキスタイルに精通しています。せっかくなので、彼女にも参加してもらって、建築や内装という「固い」ものだけではなく、「柔らかさ」を加えたいと考えました。質量のある素材や硬い素材(タイル・スチール等)と、ふんわりと柔らかい素材(カーテン・ファブリック)を組み合わせることで、緊張感と安心感が同居するうような家を目指したいと思いました。

Dress Area

Dress Area

次回は、プランニングの進め方について書きます。

 

桜丘の家

住宅リノベーションの記録 2

「夢」より「実」 −大事にしたいものの優先順位を決める

前回、第1回ではリノベーションの前段について書きました。今回は「優先順位」についてです。

納得できる物件を探すために、あれも、これも、と欲張るのはやめて、私たち家族にとって
大事なことは何か、譲れない条件は何か、優先順位を決めることにしました。
(当時)1歳にも満たない娘とは会話ができないので、家族といっても実際には夫婦で話し合うことになります。その中で、決めたのは以下の条件でした。

1 自然が豊か、緑が多いところ
2 物件購入になるべく費用をかけない
3 どこか「ふつう」ではない物件

1 はそのままですが、条件をチェックしていくうちに二人とも自然が豊かな環境にこだわっていることがわかってきました。前年に子どもが生まれたことによって、緑が多く広々としたところで育てたい、そういった考えがより強くなっていたことも背景にありました。

2 物件購入費用について考える上では、「家」に対する価値観をどう置くかということがあると思います。マイホームは、人生の夢だという考えも根強くあると思います。そういった考えを否定はしませんが、私たちにとっては、家は最終的なゴールではないということが明確になってきました。「豪華で広くて立派で」、そういったことには、実は二人とも大した魅力を感じていないことがわかってきました。なるべく価格を抑えて物件を購入し、それでもきちんと設計をして、自分たちが心から納得できるところに住めれば良いと思うようになってきました。「夢」よりも「実」を取りたい。

ただ、これは物件探しの後半になって気づかされたことですが、建物がきちんとメンテナンスされているかどうかは重要なポイントです。なるべく安く物件を購入したい私たちは、相場からすると極端に安い物件もいくつか見に行きました。その中には、敷地の床が陥没していたり、外壁がぼろぼろになっているようなマンションもありました。こういった物件でも、中身をきちんとデザインすれば、もちろんきれいにできると思います。ただ、メンテナンスができていない物件は、不思議と雰囲気がどんよりとしていて、そこに住む住人も環境に対する意識が高くない人が多いのです。集合住宅は、戸建て住宅以上に「手入れ」が大事。そういうことがだんだんとわかってきました。

3 は、せっかくリノベーションをするのに、広告やチラシで見るような、よくあるマンションは購入したくない、と思いました。 ちょっと変わった個性、ふつうは選ばないような物件を、うまくデザインして蘇生させたい、というふうに思っていました。

実際に私たちが選んだ物件ですが、専有部の中に60cm以上の段差がある家でした。最近のマンションは、ユニバーサルデザインの考え方が浸透しているため、家の中に段差があるのは非常に
珍しくなっています。まして子どもが小さかったり、高齢者だと、選びづらいため、なかなか売るのが難しいということでした。そのために相場に比べて安かったのです。しかし、段差の問題は設計で解消できるのはわかっていましたし、この建物は非常によくメンテナンスされていたため、相場に比べて安く購入できる、幸運な物件にめぐり合ったと感じました。

次回は、デザインコンセプトについて書きたいと思います。

住宅リノベーションの記録 1

リノベーション前の様子

リノベーション前の様子

0 はじめに

私はいわゆるインハウスのインテリアプランナーで、仕事ではオフィスや保育園の空間・家具の設計をしています。 今回、私たち(私と妻)はプライベートで古い中古マンションを購入し、リノベーションを行いました。ここでは、物件購入までの経緯とリノベーションデザインを記録します。

正直、住宅の設計はまったく初めてで、いろいろ戸惑うところもありましたが、プロセスの記録を公開することで、これからリノベーションを考えている方に、少しでも参考になる情報を提供できたらと思っています。

1 住宅の「目利き」 −物件を選ぶ段階からデザインがはじまる

住宅を購入する、リノベーションをする、という決意を固めたら、一番目に考えるのは、やはり、どんな物件を選べばいいのかという問題です。物件は「素材」そのもの。いい素材に出会えれば、いい家にできる可能性が広がります。

マンションストックは全国で約590万戸にものぼり、東京都内の分譲マンションだけでも180万戸以上と想定されています。この中からたったひとつの物件を探すのは、大変な作業といえます。 預貯金を使うにしても、ローンを組むにしても予算は決まってくるので、その中でどのように納得できる物件を探すのか? ただ、膨大な選択肢の中にも、自分たちにぴったりの物件、何か運命的に思えるような物件に出会うことがあります。

私たちの場合、まずは物件を多く見るという作業をしました。 おそらく15件ぐらいは見たと思います。不動産探しの本を読むと、最低20件ぐらいは見たほうがいいなどと書いてありますが、多く見るとだんだん住宅の良し悪しとコスト感覚が養われるのは確かです。住宅の「目利き」になるような感覚が得られます。 大体、4〜5件見ると、「これでいいかも」と思うような物件にあたりますが、家はそうそう何度も買うものではないので、焦らず、妥協せず、根気よく探すことが大事だと思います。不思議なことに、「これでいいかも」と思っていても、探しているともっといい別の物件が必ず見つかります。

物件を見ている中で感じたのは、明らかな「はずれ」はあっても、「掘り出し物」はないということ。物件情報を見ていて、価格が安くて広さも十分、「これは掘り出し物だ」と思っても、実際に見に行くと極端に日当たりが悪かったり、近隣の雰囲気がよくなかったりして、結局は相場通りの価格に落ち着くもの。 もし、「掘り出し物」があったら、必ず何か理由があります。その理由に納得できればいいですが、理由が見つからなければ、何か裏があると思ったほうが賢明です。条件を絞っていけば、「掘り出し物」はなくても、住み手にとっては価値がある、納得できる物件には出会えると思います。

そして、物件を見る際には、構造をチェックして、どの壁が壊せるのか、水周りはどこに設定できるか、等を確認しながら見るようにしました。大きくプラン変更をしたい場合は特に、事前に入念にチェックすることが大事です。壁をこんこん叩きながら見ていると、売主に怪しまれますが、臆せずに「リフォームを考えています」と説明して、細かく見させてもらいました。物件を選ぶ段階でもプランをイメージしながら、どんな家にできるか? 可能性を見極めながら見ていきます。この段階から、リノベーションデザインは始まっています。

今回は前段までですが、次回以降、リノベーションのデザインについて記したいと思います。

全国のマンション戸数(国土交通省HPより)

東京のマンション実態調査(東京都都市整備局HPより)